主人が突然うつ病になりました。

今から8年前に主人が突然うつ病になりました。原因は職場の上司からのパワハラによるものでした。毎日のように酷いパワハラを受け続けていた主人は、強いストレスを抱え、不眠状態になりました。最近元気がないなと思いしたが、当時は子供もまだ小学校の低学年でしたので、日々子育てに忙しく、主人の異変にはすぐに気付いてはあげられませんでした。主人がうつ病をいつ発症したのか詳しくは分かりませんが、主人の異変に気付いた時はかなり進行していたと思います。

仕事から帰ってくるのは毎日夜の11時過ぎだった主人が、徐々に早く帰宅するようになり、それを機に子供の宿題の答え合わせをするのが主人の担当になりました。異変に気付いたのは、その答え合わせがきっかけでした。小学3年生だった息子の算数の答え合わせを主人がしてくれていたのですが、息子が頭をひねりながらノートとドリルをもって私のところへ来たのです。どうしたのか聞くと、何度やっても答えが合わないんだ、どうしてもこの答えになるんだけど、パパが間違っているって言うんだ・・・と涙目になっているのです。私がその宿題を見ると、息子の答えは合っていました。でも、主人は全ての答えにバツを付けているのです。息子は父親に意地悪をされていると思ったのでしょうか、泣き出してしまいました。でも、それでようやく主人の様子がおかしい事に気付くことが出来たのです。

翌日、仕事で外出している隙に主人の部屋に入り、普段見ることの無い主人の机の中を見てみました。引き出しを開けて、私は心臓が止まりそうなくらい驚きました。一番大きな引き出しの中いっぱいに、カラになった下剤薬のシートが入っていたのです。1シート35錠入っているカラのシートが引き出しいっぱいに。主人はどうしてこんな大量の下剤薬が必要だったのだろう、そういえば、夜中に何度もトイレに行っていたような気がする・・・と主人の行動を思い返しました。すると、主人の行動の変化にいくつも気付いてしまいました。その日の夜、仕事から帰って来た主人と二人でゆっくりと話しました。負けず嫌いで自分の弱みを絶対に見せなかった主人が初めて弱音を吐いたのです。会社での壮絶なパワハラ、男性の上司だけでなく、女性社員からも嫌がらせを受けていたとの事でした。私は当時クリニックで医療事務の仕事をしていました。クリニックでは一見普通のサラリーマンに見える人でさえ、実は軽いうつ病を患っていて、通勤しながらも抗うつ剤を飲んでいる人をたくさん見てきました。なので思い切って主人にも心療内科を受診するように勧めました。最初は拒んでいましたが、私が感じた最近の主人の異変を正直に伝えると、さすがに受診することを受け入れてくれました。半年前から不眠に悩んでいて、それが原因かは分かりませんが強い便秘症状がおきているとの事でした。なので、通常よりも多く下剤薬を服用していたとの事でした。どうしてカラになったシートを引き出しの中に隠していたのかは自分でも分からないとの事でした。ネットで良さそうな心療内科探して受診しました。医師からの診断はやはり軽度のうつ病でした。先ずは軽い抗うつ剤と睡眠導入剤を処方してもらいました。2週間ごとに通院することになり、結局会社は8か月欠勤することになりました。薬を服用しても、主人の異変は続き、子供をマンションのエントランスに待たせたまま、自分だけ車で出かけてしまったり、自宅で待っているように約束したにも関わらず、突然出かけてしまったりと、予想できない行動が数か月続きました。便秘も解消されず、部屋で一人で籠ってばかりいました。この先、一体どうなるのか、買ったばかりの自宅のローンはどうなるんだろう、と不安な気持ちに押しつぶされ、私がおかしくなりそうでした。しかし医療事務という仕事をしていたおかげで勤め先の先生からたくさんのアドバイスをいただき、主人と一緒に病気に向き合う事で、少しづつ回復へ向かっていくことが出来ました。忙しくてずっとご無沙汰だった主人の趣味である海釣りにも出来る限り行く機会を増やしました。その時は子供を実家に預けて主人には自分の時間を思いっきり楽しんでもらうよう、心がけました。主人の病気を双方の両親に伝える事で、皆、積極的に協力してくれましたので、私は主人の病気回復に集中することが出来たと思います。うつ病は、気づいた時にはかなり深刻な状態になっていることが多いと聞きます。もっと早く気付いて上げられれば主人はこんなに苦しまずに済んだのにと、自分を責めてしまった時期もありましたが、気付くことが難しい病気です。心療内科の先生のお話ではうつ病になる人の多くの特徴として、真面目な人、責任感の強い人、我慢強い人であるとの事でした。どれほど辛くても弱音を吐かず、仕事も休まない事がより病気の進行を深刻にしてしまうのだという事でした。そういった性格の人の異変に気付くのは難しい事で、主人の異変を見過ごしてしまった私には責任はないと、先生がおっしゃってくれた言葉に救われました。

うつ病は非常に身近な病気です。いつ、誰がなってもおかしくない病気です。ちょっとした心のバランスの崩れが、うつ病を引き起こしてしまいます。

でも、早めに診察を受ける事で治る病気でもあります。まさか、自分が・・まさか、家族が・・とは思わずに、気持ちが辛くなったら、自分の力で気持ちをリセットすることが難しいと感じたら、ぜひ心療内科を受診することをお勧めします。アメリカでは心療内科は歯医者と同じくらい身近なものだと聞きました。心の病気を恥ずかしいと思わずに、ぜひ医療の力に頼ってほしいと思います。