うつ病の方の葛藤と周りの人の対応

以前の職場で、僕の部下がうつ病を発症していました。
その子は女性であり、職場ではバイトとして働いていたのです。僕は責任者として彼女をしっかりと世話をする義務がありまして、彼女が辞めるまでの約一年間はずっと気持ちが休まることもなかったです。

しかし本当に辛かったのは彼女の方でしょう。
彼女は病院からしっかりとうつ病だと診断されました。軽度の方であったのか、実際の彼女のテンションなどはその時により変わっていて、良いときは元気だし、悪いときは情緒不安定なところもあったりと。
僕も詳しいことはわかりませんでしたが、明らかに普通ではないことが解りました。

ちなみに当時の僕は飲食店に勤めておりまして、元々は彼女の母親が常連だったのです。僕から見てもとても良いお客様で、それなりに仲良くさせてもらいました。
そこにその母親から頼みを受けたのです。うちの娘をバイトとして雇ってもらいたいと。
その時は週に1回か2回しか入れないですよと言いましたが、逆にそのくらいの方が良いと言われて、とりあえず面接をしようと事を運んだのです。
その時は詳しくは分からなかったので、週に1、2回で良いのかと僕自身が不思議に思っていまして。
しかしそのあとの面接と母親の話ではっきりしました。うつ病を患っているからだ。

正直最初は断ろうと思いました。
イキナリ気持ちが落ちたりなんかしたら接客業としては痛手です。責任をとることはとても難しいのです。
たぶんどこの職場もそういう感じで雇えなかったのでしょう。本人は学生ではないので働かなければいけない、その意思はあるのです。ただうつ病ということで弾かれる。
それは彼女も迷っていたことでしょう。
やる気はあるのにどこも雇ってくれないと。

しかし僕は意を決して彼女を雇うことにしました。
オーナーにも話をして了解を得まして。
週に1、2回ならなんとかなるだろうと。彼女は普段はなんの問題もなく明るい女性なのです。
そしてもし何かあっても、うちの他のバイトは温情のある優しい子達ばかりだと、なんとかなるはずだという自身をもっていこうと思っていたのです。

そんなこんなで現場に入ってもらい少しずつ仕事を覚えさせました。最初のうちは特に問題もなくこなしていたので、大丈夫じゃないかと安心しようとしてました。
しかしそこからが大変だったのです。
彼女はとにかく頑張りやさんで、少しでも長い時間働きたいと言い出してきたのです。
しかも彼女はお金目当てではなくて、とにかく役に立ちたいという願望のもとでそう言ってきたのでした。だから残っていてもその分の給料は要らないですとはっきりと宣言しまして。
それであれば今後の社会復帰のためにもと考えて、そうすることにしました。
しかし、それが良くないことに発展したのです。

少しずつ彼女のシフトの時間を伸ばしていき、そして日数を増やしていったのですが、それと共に情緒不安定な部分が出てきたのです。
やはり接客業は気を使う仕事です。それが彼女をとにかく疲れさせてしまいました。彼女は急に怒りだしたり、かと思ったら泣き出したり。
あげくのはてには急に仕事を休んだりと、だんだん働かせていることがキツくなってきてことが現実です。

彼女は本来、十分に休息をとらなくてはいけない立場であるのに、自分に無理をして働いてしまい、病状に影響が出ました。
ついには僕のもとに彼女の精神科の先生から電話が来ることにもなりまして。彼女を仕事から離して休ませてほしいとお願いが来たほどです。
でも彼女は「私は大丈夫です、働けます」の一点張り。
現状が現状なので僕も解雇を通達することはできます。しかし彼女をここで辞めさせたら、逆にまた自分に自身をなくしてしまうのではないかとも考えました。
そこで彼女の母親に相談をして、その結果、彼女の思うままにさせてほしいと。

ということで僕も悩んだ結果、シフトを減らして継続することにしたのです。
しかし彼女の状況は変わらず、仕事中はまだなんとか平常でいられるものの、また急に来れなくなったり、ひどいときは近くまで来たのに帰ってしまったり。
もちろん彼女も自分が迷惑をかけていることは解っています。だから謝ってくるのですが、行きたくても行けない自分にも苛立ちと情けなさを感じていることも確かです。

そんな日が数ヵ月続いたとき、正直僕も含めてお店のメンバーも疲れていました。もう振り回されるのは止めようという空気にもなり、決断をするときも近いなと感じたのです。
その空気に気づいたのか、またも急に彼女の口から出た言葉は「お世話になりました」
そして姿を消したのです。母親からも電話がかかってきて、娘が帰ってこないとと。

そのあと彼女はフラッとお店に帰ってきましたが、僕ははそのときすでに決めていました。彼女にお帰りと言ったあとに、もう明日から休みなさいと告げました。

もう一度言いますが、一番大変なのはうつ病患者さんの方です。今の自分を変えたくても変えられない現状があるのです。
そしてまだそれが周りに理解が広がっておらず、逆に患者さんは増える一方で。
まずはうつ病と言うものを皆に知らしめることが大事なのかなと思います。